古くから PISCES を読んでくださっている方はご存じかもしれませんが、リアルタイムで読んでいる作品こそ少ないものの、Tom は作家・安部公房(1924-1993)のファンなんです。
新潮社が創業100周年記念出版として刊行した『安部公房全集』のカタログも持っています。豪華に作りすぎてしまって、コストの関係で一般書店にほとんど配布できなかった(と、当時の新潮社の中の人が言っていた)カタログです。
その全集ですが、この度ようやく『安部公房全集 30 1924.3-1993.1』が刊行されて完結したので、ここで宣伝させてもらおう。
30巻は「別巻・書誌」にあたるもので、全集編集中に得たデータをもとに再構築する必要があり刊行までに時間がかかったそうですが、最後に刊行された29巻が2000年12月の出版ですから、8年ちょっと待たされたことになります。
しかし、待った甲斐があって、新たに発見された作品、幻の映画用シノプシスなど70篇も収録され、
全巻を自在にナビゲートする詳細な書誌となっています。CD-ROM 付です。少し早いけど素敵なバースデープレゼントになりました(自分の誕生日が近いことももさりげなく宣伝しておこう)。
見返り写真は、遺作『飛ぶ男』が発見されたフロッピーディスク。当時としてはめずらしい遺作の発見のされ方で話題になったものでした。
作家・安部公房の創造の軌跡が明らかになるように、全集としてはめずらしくジャンル別にはせず、完全編年体個人全集として編纂された『安部公房全集』。
装幀もたいへん凝っていまして(98年に東京ADC原弘賞を受賞)、表紙に金属製のプレートがついていたり、ケースの内側には安部公房のポートレート写真が使われています。
安部作品を読んだことがない人も、代表作の『砂の女』くらいは右脳の刺激のためにも読んでほしいな。
ちなみに本日は安部公房の誕生日でもあります。
![]() | 安部公房全集〈30〉1924.03‐1993.01 安部 公房 新潮社 2009-03 by G-Tools |
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自分も先日、全集の第29巻までを実家の倉庫に片付け、そのあとに別巻ならぬ第30巻の刊行を聞いて驚いたところです。
読んだことのない方には、芥川賞を受賞した『壁』もオススメです。昔ほど純文学に敷居の高さを感じる人は減ったかも知れませんが、一方で文学そのものに対する敷居の高さを感じる、あるいは身近さを感じないひとが多くなったかも知れませんね。
酸いも甘いも噛み分けた頃に「砂の女」を読み直したら昔と全く別の感動を覚え愕然とさせられました。
全集は喉から手が出るほどに欲しいのですが目が飛び出るほどに高額なので躊躇しています。
「お化けが街にやって来た」をどうしても読みたいんですよ。
自分は学生時代、純文学に敷居の高さを感じていたというか、学校の教科書に載っている「純文学」が少しも面白くなかったのに、安部公房にハマってしまったので、いわゆる「純文学嫌い」の人にはぜひ読んでもらいたいかな。
いちばん有名だから『砂の女』を挙げましたけど、個人的には『箱男』もオススメ。短編だと『水中都市』が好きですね。
鈴木茂というと・・・あの人?
YouTube でさがして「砂の女」を聴いてみましたけど、安部作品とは残念ながら無関係だと思われ・・・。
武満徹が担当した映画「砂の女」の音楽はよかったですよ。
http://www.amazon.co.jp/dp/B000E1KNC0/
自分も全集で『砂の女』をはじめ学生時代に読んだ作品を読み返してみたら、違う感動を覚えました。
読むたびに新しい発見があるのが安部文学のいいところですよね。
全集は大きな図書館に行けば読むことはできるかもしれませんが、これだけ豪華な全集はなかなか出てくるものではありませんよ〜。
ファンならぜひ一家に一セットどうぞ。